人間の身体にとって重要な働きをしている肝臓ですが、その仕組みと
働きは実に複雑で多岐にわたります。よく肝臓は「人体の化学工場」
に例えられます。
肝臓の機能はこんなときに低下 します。
1 アミノ酸(たんぱく質)不足
2 ビタミン不足
3 脂肪過剰摂取
4 アルコール、薬の服用
5 ストレス
6 休養不足
日常で注意したいこと
1 良質な」たんぱく質を十分に摂る。
また、代謝に必要なビタミンBを多く摂る。
2 食後は1時間ほど横になること。
(食後しばらくは肝臓への血流が流れやすい状態
でいることが大切)
3 お酒、香辛料は適度に。
4 ストレスは早めに解消する。
(ストレスは肝臓の働きを一番低下させる)
日本で一番多い肝臓の病気はウイルス性肝炎です。原因となる
ウイルスはいくつかありますが、一般的に問題となるのはA,B
Cの3種類です。肝炎ウイルスに感染すると、まず急性肝炎を
おこし、一部が慢性肝炎へ移行します。
また、ウイルス性肝炎や長年のアルコールの取りすぎによる
アルコール性肝障害が進行すると肝臓の個脳が極めて悪化
する肝硬変となり、肝臓がんが発生しやすくなります。
【A型肝炎】
A型肝炎ウイルスによって感染します。ウイルスに汚染され
た水や食べ物(主に生ガキなどの生の魚介類)などを摂取
することにより感染します。
適切な治療でほとんど治ります。
【B型肝炎】
B型肝炎ウイルスによって感染します。1〜6ヶ月で発病し
最初はカゼや急性胃腸炎に似た症状があり、やがて黄疸
が出てきます。
大人になってから感染した場合は大部分は2〜3ヶ月で
治ります。
【C型肝炎】
C型ウイルスが原因で輸血や血液を介して感染します。
2週間〜6ヶ月で急性肝炎を発病したり、徐々に発病
する場合があります。身体のだるさ、発熱、食欲不振
などカゼに似た症状で始まることが多いのですが、
自覚症状がまったくない場合もあります。
急性肝炎が治っても慢性肝炎に移行する場合が多く
肝硬変や肝臓がんへと進行することもあります。
【慢性肝炎】
肝臓の炎症が6ヶ月続いている状
態です。
原因のほとんどはB型・C型肝炎ウ
イルスの感染によるものです。
症状はだるい、疲れやすい、食欲
不振など目立たない軽いものです
が、採血して検査すると肝機能に
障害があります。
症状はたいしたことはありません
が、この状態が十数年続くと、肝
硬変に進み、さらに肝臓がんにな
る可能性もあります。
【肝硬変】
肝炎などの肝障害のために肝臓が何度も繰り返しダメージを
受けると組織が繊維化し、肝臓全体に広がり、表面が
でこぼこに変化してしまいます。一度繊維化すると元には
戻らず、その部分の肝機能が失われてしまいます。
肝硬変は慢性肝炎をはじめとする肝臓病の「終着駅」と
いわれ、肝臓がんのほとんどが肝硬変から発生します。
【肝臓がん】
肝臓にできる悪性の腫瘍で、最初から肝臓の組織に発生
したものを原発性肝がんといいます。肝がんは進行した
肝硬変に合併して起きることが多く、特にウイルス性肝炎
から慢性肝炎、肝硬変に移行した人では肝がんの発生率は
高くなります。症状は相当進行するまでありませんが、
進行すると黄疸、体重減少、腹水、嘔吐などの症状が現れ
てきます。
【脂肪肝】
肝細胞の中に脂肪(中性脂肪、コレステロールなど)が
異常に蓄積された状態を脂肪肝といいます。
原因の多くは肥満、糖尿病、アルコールの飲みすぎに
よるものです。
脂肪肝はほとんど自覚症状がないのが普通ですが、肝炎を
合併しやすいという特徴があります。
太り過ぎの人は減量を心がけることが大切です。
肝臓は人体にとって大切な働きを黙々と続けています。
肝臓が弱ったり、病気になっても、それに気づかずに酷使していると
気がついたら肝臓病に進んでいたというようなケースもあるので、油
断はできません。
肝臓が疲れたり、病気の初期にはまったく症状が出ないかというと
決してそうではありません。
次にあげるようなさまざまな症状が現れたら、肝臓が疲れていたり、
病気になっていたりする可能性がありますので、注意が必要です。
体温はどこで作るの・・・?
体温は身体の中で作られ、血液によって運ばれて身体全体を
暖めます。身体の中心部では38度、脇では36〜37度ですが、
それが手や足先に運ばれるころには28度くらいになっています。
具体的には身体の中の体温を作るところは1位が筋肉、2位が
肝臓、3位が胃腸です。運動をすれば暖かくなるだけでなく、食事を
すると身体がポカポカしてきます。
これは肝臓や胃腸が活発に動いて熱を作るためです。
人間は運動していない時、例えば寝ているときでも体温を作り
続けています。安静時には肝臓などの内臓が56%、筋肉は
18%、そして脳が16%、骨が10%です。
肝臓をはじめとする内蔵が体温の多くを作りますので、体温作り
にはなくてはならない存在です。
熱量不足を改善するには、身体の熱量を上げる工夫が必要
です。熱を作るところは筋肉のほか、肝臓や胃腸でも大きな
熱を生み出していますので、栄養不足の方やお年よりなどは
肝機能や胃腸の働きが低下して十分な熱量が得られないこ
とがあるのです。
このような熱量不足の方は、肝臓と胃腸を元気にして、熱を
十分に発生させることが冷え性の改善にもつながるのです。